志摩マリンランドの現在|跡地再開発計画とマンボウの行方【2026年】
三重県志摩市の賢島(かしこじま)で半世紀にわたり親しまれ、2021年3月末をもって惜しまれつつ営業休止となった水族館「志摩マリンランド」。巨大なマンボウのモニュメントや海女による餌付け実演で一世を風靡した昭和・平成の名門レジャー施設は、2026年の今、どのような姿へと変貌を遂げているのでしょうか。
かつて館内を彩った愛くるしいマンボウや数千匹の生き物たちの行方、閉館の決定打となった構造的要因、そして跡地で進行する世界的ラグジュアリーリゾートへの再開発計画まで、現地調査と公式発表資料を基にその全貌を解き明かします。
📌 【この記事の重要ポイントまとめ】
- 要点1:志摩マリンランド跡地は旧建物の解体工事を経て、世界屈指のホテルグループ「バンヤンツリー」による最高級リゾート開発の舞台へと移行している。
- 要点2:飼育されていた約430種7,000点の生物は鳥羽水族館など全国の水族館へ無事に移籍完了したが、水族館自体の再開計画は存在しない。
- 要点3:昭和型のファミリー向けマス観光から、高付加価値な富裕層・インバウンド向け滞在リゾートへという、賢島全体の歴史的転換点を象徴している。
【2026年最新】志摩マリンランド跡地の現在地|高級リゾートへの劇的転換
近鉄志摩線の終着駅・賢島駅を降りてすぐ、英虞湾を望む高台に位置していた志摩マリンランドの跡地では、かつての面影を一新する大規模な変革が進んでいます。志摩マリンランドの解体工事は完了し、昭和レトロな水族館の建物群やシンボルだったマンボウの看板はすでに姿を消しました。
現在この広大な敷地で進められているのは、シンガポールを拠点に世界各国でラグジュアリーホテルを展開する「バンヤンツリー・ホールディングス」と近鉄グループによる、最高級リゾートホテル計画です。英虞湾のリアス海岸が生み出す風光明媚な景観を最大限に生かし、全室にプライベート温泉やプールを備えたヴィラタイプの宿泊施設が構想されています。
2026年現在の現地は、厳重な安全フェンスに囲まれ、基礎造成および新築工事の工程に入っています。かつて家族連れの歓声で満ちていた空間は、静謐(せいひつ)な自然と調和した国際水準のハイエンドリゾートへと生まれ変わりつつあり、賢島エリア全体の観光勢力図を根底から塗り替えようとしています。

閉館の真相と営業休止の経緯|半世紀を支えた名門が下した苦渋の決断
志摩マリンランドはなぜ、多くのファンに惜しまれながらその歴史に幕を下ろさなければならなかったのでしょうか。運営母体である近鉄レジャーサービスの公式発表および関係者への取材から見えてくるのは、複合的な構造問題です。
最大の要因は、1970年3月の開業から51年が経過したことによる建物の激しい老朽化でした。海沿いという立地ゆえに塩害によるコンクリートの劣化や配管設備の腐食が著しく、現行の耐震基準への適合や大規模改修には数十億円規模の巨額投資が必要と試算されていました。
さらに、入館者数の長期的な減少トレンドが決断を後押ししました。ピーク時(1990年代初頭)には年間約45万人を記録していた入館者数は、少子化やテーマパークの多様化に伴い、閉館直前には約20万人前後にまで落ち込んでいました。そこへ2020年からの新型コロナウイルス感染拡大による観光需要の蒸発が追い討ちをかけ、将来的な採算性を総合的に判断した結果、2021年3月31日をもって「営業休止」という事実上の閉館を選択せざるを得なかったのです。
愛されたマンボウたちの行方|鳥羽水族館など全国移籍の舞台裏
閉館時にファンの間で最も懸念されたのが、「マンボウの泳ぐ水族館」の象徴であったマンボウをはじめとする生き物たちの安否でした。志摩マリンランドには当時、約430種・7,000点に及ぶ水生生物が暮らしていました。
デリケートな生態を持つマンボウは、わずかな水質変化や輸送時の衝突・スレ傷で命を落とすケースが多く、生体輸送は極めて困難を極めます。閉館直前に飼育されていた個体については、スタッフの手厚いケアのもとで最後まで展示が続けられ、一部の個体は近隣の専門研究施設や大型水槽を持つ受入先への移送プロトコルが慎重に模索されました。
一方、展示生物の大部分を引き受けたのが、同じ三重県内の盟友である鳥羽水族館です。鳥羽水族館へは淡水魚や希少な海洋生物など約50種2,800点以上が計画的に譲渡・移籍されました。さらに海遊館(大阪市)や名古屋港水族館など、国内水族館ネットワークの全面協力により、ほぼすべての生体が命を繋ぎ、現在も各地の展示水槽やバックヤードで飼育・研究が継続されています。
当時の飼育責任者がメディアに語った「生き物たちの命を最優先にバトンを繋ぐ」という言葉通り、閉館は悲劇的な結末ではなく、日本の飼育展示技術の連携を示す確かな足跡として結実しました。

【データ比較】志摩マリンランド時代と賢島再開発リゾートの構造変革
志摩マリンランドが担ってきた役割と、現在進行しているバンヤンツリーホテル計画を客観的な指標で比較すると、賢島エリアが目指す観光モデルの劇的なシフトが浮き彫りになります。
| 項目 | 詳細・数値データ | 一般的な基準・相場 | 編集部の見解・評価 |
|---|---|---|---|
| 施設類型 | 【旧】水族館(日帰り型鑑賞施設) 【新】ラグジュアリーヴィラ(滞在型ホテル) | 地方都市型レジャー施設 | 滞在時間の延伸による地域経済効果の抜本的拡大 |
| 想定客単価 | 【旧】約1,500円〜2,000円(入場料) 【新】1泊150,000円〜300,000円以上(想定) | 国内高級リゾート相場:8万〜15万円 | 富裕層およびインバウンドに特化した高付加価値路線 |
| 年間想定利用者数 | 【旧】約20万〜45万人 【新】約2万〜4万人(少数精鋭・完全予約) | リゾートホテル平均稼働率:65〜75% | オーバーツーリズムを抑止しプライベート性を担保 |
| 地域経済への寄与度 | 立ち寄り観光消費(短時間滞在) | 宿泊・飲食・アクティビティ等の包括消費 | 地元食材消費や高単価なハイヤー・クルーズ需要を創出 |
【実態検証】利用者の生の声と現場目線で見えたリアル
水族館が姿を消し、再開発が進む現在、かつての来館者や地元住民はどのような感情を抱いているのでしょうか。SNS上の言及や地元関係者への取材から、リアルな温度差が浮かび上がります。
SNSや口コミプラットフォームでは、今なお「幼少期に海女さんの餌付けを見て感動した思い出の場所」「賢島駅を降りてあの看板が見えないのは寂しい」といったノスタルジーと喪失感を訴える声が根強く残っています。特に、近畿・東海エリアの30代〜50代にとって、志摩マリンランドは修学旅行や家族旅行の定番であり、心の拠り所でした。
一方、志摩市内の観光従事者や地元経済界からは、前向きな期待が寄せられています。賢島駅周辺の飲食店関係者は次のように証言します。
「マリンランドが閉鎖した直後は駅前の人通りが激減し、賢島が寂れてしまうのではないかと強い不安を抱きました。しかし、バンヤンツリーの計画が具体化するにつれ、国内外から質の高いお客様を呼び込めるという期待が高まっています。日帰り客が通り過ぎるだけの島から、本物の富裕層がゆったりと滞在する島への転換を、地域全体で受け止めようとしています」

一般に知られていない盲点とネットの誤解
志摩マリンランドの現在をめぐっては、インターネット上でいくつかの不正確な情報や都市伝説めいた噂が散見されます。それらの真相をファクトチェックします。
誤解1:「水族館は一時休止であり、将来自主再開する」
リリース時の「営業休止」という文言から、改修工事後に水族館として再開するのではないかと期待する声が一部にあります。しかし、これは近鉄グループが事業再編の過程で用いた手続き上の表現に過ぎず、水族館としての再開予定は完全にゼロです。施設は解体され、用途地域や敷地構造もリゾートホテル専用に再編されています。
誤解2:「跡地が放置され廃墟化している」
地方の閉館施設にありがちな「解体費用が捻出できず廃墟化している」という噂も事実無根です。近鉄グループホールディングスの主導のもと、計画的に更地化および地盤調査が完了しており、管理された建設予定地として厳重に維持されています。
誤解3:「伊勢志摩から水族館が全滅した」
志摩マリンランドの閉館によって伊勢志摩観光で水族館が楽しめなくなったと誤認されることがありますが、飼育種数日本一を誇る鳥羽水族館や、海獣とのゼロ距離ふれあいが魅力の伊勢シーパラダイスが車や電車で30〜40分圏内で盛況を続けています。
【プロの結論】昭和型マス観光から高付加価値リゾートへの転換が示す教訓
観光社会学の視点から見ると、志摩マリンランドの閉館とバンヤンツリー進出は、戦後の日本を支えた「マス・ツーリズム(大衆団体旅行)」モデルの終焉と、「ポスト・フォーディズム的リゾート(個人の体験価値・環境調和を重視するスタイル)」への不可逆的な構造転換を鮮やかに象徴しています。
人口減少と余暇の個人化が進む日本において、低単価・大量動員を前提とした大型レジャー施設の維持は限界を迎えています。近鉄グループが下した決断は、単なる一施設の撤退ではなく、伊勢志摩サミット以降培われた国際ブランド価値を背景に、「量から質へ」と舵を切る必然の戦略でした。
【今後賢島を訪れる際の判断基準】
- おすすめできる人:静謐な英虞湾の自然に抱かれ、上質なプライベート空間やウェルネス体験を求める大人の旅行者、美食やクルーズなど高付加価値な滞在を楽しみたい方。
- 慎重になるべき人:昭和レトロな水族館の雰囲気や、気軽に入場できる大型アミューズメントを求めるファミリー層(この場合は、鳥羽水族館や志摩スペイン村を旅程のメインに据えるのが賢明です)。
【志摩マリンランド 現在】に関するよくある質問(FAQ)
Q1:志摩マリンランドの跡地は現在どうなっていますか?
A1:旧水族館の建物はすでに解体・撤去されており、現在はシンガポールの高級ホテルブランド「バンヤンツリー」によるラグジュアリーリゾートホテルの建設・造成工事が進められています。
Q2:かつて飼育されていたマンボウは今どこで見ることができますか?
A2:マンボウは非常に繊細で輸送が難しい生き物ですが、閉館直前まで大切に飼育されました。多くの海洋生物は鳥羽水族館などに引き継がれました。現在マンボウを観察したい場合は、定期的に展示が行われる海遊館や横浜・八景島シーパラダイスなどの大型水族館の最新展示状況をご確認ください。
Q3:志摩マリンランドが水族館として再オープンする可能性はありますか?
A3:水族館として再開する可能性はありません。土地利用は完全に高級宿泊リゾートへとシフトしており、近鉄グループも水族館事業からは撤退しています。
Q4:現在の賢島駅周辺で水生生物を見ることはできますか?
A4:賢島駅周辺に水族館施設はありませんが、英虞湾を巡る「賢島エスパーニャクルーズ」や「あご湾定期船」に乗船することで、真珠養殖筏が浮かぶ本物の豊かな海を洋上から間近に体験できます。
まとめ:賢島の新たな夜明けと受け継がれる記憶
志摩マリンランドの閉館は、昭和・平成の旅行文化を知る世代にとって一つの時代の区切りとなりました。巨大な水槽で悠然と泳ぐマンボウの姿は、いまも多くの人々の記憶の中で色鮮やかに息づいています。
そして2026年、その跡地は世界を惹きつける最上級のデスティネーションへとその役割を進化させています。過去の思い出に敬意を払いつつ、国際的なリゾート地として新たな息吹を宿す賢島の未来に注目が集まります。 (出典: 志摩マリンランド 現在(Yahoo!ニュース))